粕谷:昨年の5月です。体調が悪かったので5月15日にかかりつけ医に行って血液検査をしたら、通常なら多くても3000から9000くらいの白血球が9万もあると言う。「ただごとではないから、大きな病院に行ってください」と東大病院を紹介されました。二日後に東大病院を受診したときには白血球が12万に増えていて白血病と告知され、そのまま緊急入院になりました。あとで話しますが、主治医と話し合い、移植はしないで新薬と従来の抗がん剤の併用療法を選択しました。それを8クール続け、入院日数は延べ375日に及びましたが、今年の9月28日に生きて退院することができました。今は白血病細胞が血液や骨髄の中から姿を消した「寛解」という状態で、通院しながら経過観察をしています。1日か2日受診が遅れたら危なかったのではないかと思うと、本当に早く対応できてよかったと思っています。白血病になったのは不幸ですが、早期発見早期治療がいかに大事かが身にしみました。



上野:私よりさらに長期の入院で、本当に大変でしたね。粕谷さんは、病気になる前は、がんに対してどのようなイメージを持っていましたか?

粕谷:正直なところ自分ががんになるとは微塵も思っていなくて、青天の霹靂でした。それまで大きな病気にかかったことがなかったし、上野さんとの接点はあったものの、近親者にがんになった人はほとんどいなかったので、がんは身近な存在ではなかったんですね。自分ががんになって初めて、こんなに人間を絶望感に陥れ、心折れさせてしまう病気なのだと知りました。上野さんは20代という若さでしたから、ショックが大きかったでしょう?

上野:仕事も運動もしていて元気でしたから、過労で倒れることはあってもがんで3年も入退院を繰り返すようになるとは全く想像していませんでした。がんの知識も乏しくて、高齢者の病気で、なったらもう治らないと思っていましたね。

粕谷:私も白血病だと告知されたときは「死ぬ」と思いましたよ。東大病院を初診した日に告知されたんですが、検査結果が出ると、後に担当医となる医師とは別の医師から「粕谷さん、99.9%白血病です」って、いきなりです。お先真っ暗というよりも、「えっ? この人は何を言っているのだろう」と。白血球が高いのが白血病だという認識がそもそもなかったですからね。


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睾丸が腫れてきて…