暴れん坊助っ人といえば、やっぱりこの人、ガルベス(巨人)を忘れるわけにはいかない。

“日米ヘビー級対決”として今も語り継がれているのが、入団1年目、96年5月1日の中日戦(ナゴヤ)である。

 5回、ガルベスの141キロの速球が山崎武司の頭付近を通過したのが、乱闘のゴングだった。107キロのガルベスに対して、86キロの山崎が血相を変えて詰め寄る。

 ガルベスも間合いを詰めながらグラブを外すと、左手でパンチを繰り出した。逆上していても大事な右手を庇うところは、さすがはプロと言うべきか?

 一方、唇から出血した山崎も「日本の野球をなめられたくなかった」と屈強な外国人相手に怯むことなく、ヘッドロックをかけて応酬。直後、落合博満が割って入ったのを合図に、両軍ナイン入り乱れての乱闘劇に発展した。

 金村義明と島野育夫コーチはバットを手にして威嚇したが、淡口憲治コーチらに取り上げられ、ガルベスを止めようとした吉原孝介がひじ打ちを食らって口から血を流してうずくまるシーンもあった。

 張本人のガルベスと山崎は退場処分となったが、ガルベスは「殴りかかってきたのは向こうなのに、何でオレが退場なんだ」とむくれ、長嶋茂雄監督も「納得できない」と放棄試合覚悟で猛抗議。試合は32分間中断し、試合後もファンの暴動を警戒して巨人ナインを乗せたバスがパトカー先導で球場を脱出するなど、騒動の余波が続いた。

 この事件がきっかけで、ガルベスは「カルシウム不足、していませんか?」という日本酪農牛乳協会のCMに出演することになった。これもけがの功名か?

 87年シーズン途中に中日入りしたカスティーヨは、メジャー通算38勝の本格派右腕。9月17日の大洋戦(ナゴヤ)で先発デビューを飾ると、6回5失点降板ながら、直後、味方が逆転し、幸運な白星スタートとなった。

 だが、2度目の登板となった同24日の巨人戦(後楽園)もピリッとしない。4回までに3点を失い、5回にも原辰徳に左前タイムリーを許した後、1死満塁のピンチを招いて交代となった。

 5回を終わって0対5。苦しい展開にベンチの星野仙一監督がカッカと怒りの炎を燃やしているころ、ベンチ裏では、なんと、本物のボヤ騒ぎが起きていた。

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