サッカー日本代表の堂安律(左)と中島翔哉(右)(写真:getty Images)
サッカー日本代表の堂安律(左)と中島翔哉(右)(写真:getty Images)

 サッカー日本代表は11月16日に大分スポーツ公園総合競技場でベネズエラ代表と対戦した。中島翔哉のFKから酒井宏樹が鮮やかにボレーシュートを決めて先制したが、後半にはその酒井のファウルでベネズエラにPKを与えてしまい、同点にされた。そこからピンチもチャンスもあったが、お互いゴールを奪えず、ベネズエラとは4試合連続(2014年の試合は2-2引き分けも、ベネズエラが前の韓国戦でベンチから退席処分になったサロモン・ロンドンを日本戦に起用したことがルール違反としてFIFA裁定により日本の3-0扱いになった)の引き分けとなった。

 ここまでの“森保ジャパン”の4試合で初めて中島、南野拓実、堂安律の一人も得点者がいない試合となった。しかし、タイトで組織の完成度も高いベネズエラ相手にこれまでにあまりない周囲との連動の形や、ポジションチェンジも見られ、それぞれの仕掛けより、同時に3人が絡んで崩そうとするシーンが多かった。それは来年のアジアカップに向け、より本番仕様に近いトライと言える。

 その姿勢は立ち上がりのチャンスから見られた。前半3分、遠藤航にパスを出し、リターンのバックパスを受けたシュミット・ダニエルがボランチの位置まで引いてきた堂安にグラウンダーのパスを送る。そこから、堂安は相手MFのプレスをかわし、大迫勇也に縦のボールを入れて、その大迫を中央で追い越したボランチの柴崎岳を経由して、右外から堂安が追い越して仕掛けた。

 ゴール前の中央には連動した南野が待っていたが、堂安はディフェンスが付いてきている南野ではなく、左をフリーで走り込む中島に出した。そこから中島の右足ループシュートはゴールマウスを大きく外してしまったが、堂安が柴崎と縦のポジションチェンジ。そこから起点として絡んでポストに入った大迫、さらに柴崎を追い越して裏で受けるという形はこれまでの試合であまり見られなかった。

 おそらく、堂安はシュートをイメージしていたが、相手のディフェンスがコースを閉じたために中島へのパスを選択したのだろう。いずれにしても、南野と中島も、堂安のビジョンをある程度思い描いてポジションを取れていたように見える。結果、ゴールにはならなかったが、ベネズエラのタイトなプレッシャーを逆に利用するような攻撃を繰り出すことができた。

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“競演”だった3人のプレーが“共演”に