

個性派俳優、佐藤二朗さんが日々の仕事や生活の中で感じているジローイズムをお届けします。
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今、撮影の待ち時間である。かなりの待ち時間である。つまり、暇である。かなりの暇である。暇、暇、暇、なおかつ暇である。ヒーマーである。ゲーマーみたいである。言うほど、みたいでもない。かように低クオリティな文を書いてしまう(いつもだろって言うな)ほどに暇である。撮影まであと3時間は待つだろうと予想される。
かつて香川照之さんは「俺、中空き(撮影して、次の撮影までに待ち時間が生じること)が大好きなんだよね」と言っていたが、そして大好きと言っても昆虫よりは好きでないと思われるが、僕は待ち時間はあまり好きくない。「好きくない」って言い方、いつから生まれたんだろね。ほうら。どんどん話が逸れるぜ。だって暇だから。エグいほど暇だから。暇で暇でもはや俺は疲れている。暇で疲れるってよっぽどだ。しかも今、控室で俺1人だから、放屁しても誰も何も言ってくれない。誰も何も言ってくれない放屁なんて、もう、なんというか、ただのオナラだ。いや誰か何か言ってもオナラはオナラな訳だが、どうせオナラするなら誰かの役に立ちたい。誰かの希望になるオナラでありたい。本格的に何を書いてるのか分からない。だって暇だから。ヒーマーだから。ゲーマーみたい。あ、さっき書いたなコレ。あ~暇だ。
「役者は待つのも仕事」とは先人の言葉だが、本当にそう思う。僕の過去の記録は、静岡でのロケで「13時間待ち」。いや~待った。待って待って、そして待った。待ってることを忘れるほどに待った。しかもこの時は13時間待った挙げ句、雨で結局撮影できないという、悲しすぎて逆に笑うくらいのオチがついた。この時は全人類の不幸を一身に背負ったかのような気持ちになったものだ。
今、この改行をする前にトイレで小便をしてきたが、衣装のズボンに、少しオシッコを引っ掛けてしまった。ごめんよ、衣装さん。でも衣装さん、安心して。撮影までにはきっと乾くから。だって撮影まで、まだ3時間もあるから。