水野美紀さん <出演情報> テレビ朝日系 土曜ナイトドラマ「あなたには渡さない」11月10日(土)スタート 毎週土曜23:15~(https://www.tv-asahi.co.jp/anawata/)/讀賣テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル>(http://www.ytv.co.jp/cinemalife/)
水野美紀さん <出演情報> テレビ朝日系 土曜ナイトドラマ「あなたには渡さない」11月10日(土)スタート 毎週土曜23:15~(https://www.tv-asahi.co.jp/anawata/)/讀賣テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル>(http://www.ytv.co.jp/cinemalife/

イラスト:唐橋充
イラスト:唐橋充

 42歳で電撃結婚、翌年には高齢出産。激動2年を経た女優・水野美紀さんが、“母性”ホルモンに振り回され、育児に奮闘する日々を開けっぴろげにつづった連載「余力ゼロで生きてます」。今回は、人から言われる「子供抱えながら仕事して大変だね」という言葉に反論する。

【子育てには常にてんこ盛りのタスクが…】

*  *  *

 仕事に復帰して「あれ?」と思ったこと。

 それは、仕事がラクに感じるようになっていたことだ。

 家にいると、常にチビに目を光らせながら、

「ご飯、何にしよう?」
「食器洗わなきゃ」
「そうだ、ご飯何にしよう?」
「買い物に出なきゃ」
「ひとまず掃除機をかけよう」
「あ、洗濯終わった、洗濯物干さなきゃ」
「お風呂入れなきゃ」
「ワクチンの予約入れなきゃ」
「ああ、携帯チェックしなきゃ」
「セリフを覚えなきゃ」

 と、常にてんこ盛りのタスクを背負い込んでいて、自分の睡眠も食事もトイレもままならないのに、撮影の現場では、その背負い込んだタスクをいったん降ろして、自分のことだけ、撮影のことだけ考えればいいのである。何にも考えないでぼーっとできる時間さえあるのだ。

 産後初めて撮影の現場に復帰した日(産後2カ月)。

 朝7時に迎えの車が来ることになって、私は5時に起きてチビの授乳を済ませて、オムツを替えて、寝かしつけて、支度して、搾乳して、夫にバトンタッチして、バタバタと迎えの車に乗り込んだ。

 そして、車が走り出した時に衝撃が走ったのである。

 何が衝撃かって、その静けさにである。

 ホッと一息ついて流れる景色を眺める。

 その贅沢さにである!

 産む前には何も特別に感じたことなんてなかったその時間が、「え……! 何この静かな時間! 何このリラックス・タイム! なんて贅沢! なんて癒されるの! ボーッとしていいの? こんな贅沢していいの!?」という、極上の贅沢タイムに感じられたのだ。

 この感覚をどう例えたらいいのか、どうすれば伝わるのか分からない。

 私はこの衝撃があって初めて気づいた。

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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この時、久々に味わった感覚とは?