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東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故で今も、富岡(福島県富岡町)―浪江(同県浪江町)間の20.8キロが不通となっている常磐線。とりわけ、双葉駅(福島県双葉町)と大熊駅(福島県大熊町)は、駅舎も帰還困難区域となっており、これまで、ほとんど手つかずだった。しかし、今年に入り。双葉駅や大熊駅では駅舎の撤去、線路の補修などがはじまった。普段は立ち入りが制限されている双葉駅とその周辺の状況が9月、AERA dot.の取材で明らかになった。
JR双葉駅は、原発事故前は地元のメインストリートの中心にあり、薄茶色に駅舎に「双葉駅」の文字、そして、風車のついたからくり時計が親しまれていた。時計は、東日本大震災があった14時46分をさして止まったままだ。
1年ほど前に来たときは、一時帰宅で戻ってくる住民が時折、通りかかる程度で、静かなものだった。しかし、9月にはたくさんの重機が入り、駅舎の改築、線路をまたぐ階段の撤去、線路の補修が急ピッチで進んでいた。
「おーい、こっちだよ」
「おーらい」
と大きな声が響き、ひっきりなしにダンプカーが砂ぼこりをあげてやってくる。工事現場の人はこう説明してくれた。
「早ければ来年にも鉄道を開通させると聞いています。駅舎もリニューアルするそうで、立派になると思います」
双葉駅前のメインストリートでも「家屋解体中」と赤い大きな文字の旗があちこちでみられる。まったく手つかずだった、家や商店が解体され更地になっている。
双葉駅から、3百メートルほど北に進むと、線路の補修と電柱の設置が進んでいた。原発事故直後に来たときは、人の気配は皆無。線路は草でおおわれ、踏切のバーは、住民たちがあわてて避難したのか折れ曲がっていた。
今はたくさんの工事業者が入り、線路のレール上も走行できるトラックにクレーンが積まれていた。一時帰宅の住民がこう説明してくれた。
「双葉駅を中心に家屋を解体、除染して一時的に戻る子ことができる街づくりの計画があるそうです。解体工事、除染もその一環だそうです」
2020年3月末までに全線の運転再開を目指しているという。(AERA dot.取材班)