小川晃平(おがわ・こうへい)/VALU代表取締役。グリーなどを経て、ビットコイン開発会社を起業。VALUでは経営のほか開発も進める(写真:本人提供)
小川晃平(おがわ・こうへい)/VALU代表取締役。グリーなどを経て、ビットコイン開発会社を起業。VALUでは経営のほか開発も進める(写真:本人提供)

 個人が発行した「VA(仮想株式)」を売買できるサービス「VALU」。人気ユーチューバーらによる「売り逃げ騒動」で注目を集めるが、そもそも目指すのは個人の価値が評価される「評価経済社会」だ。

 お盆の最中、8月15日お昼過ぎ。ツイッターのタイムラインがざわつき始めた。「ヒカルさんが全VALU放出!」「これ、売り逃げ終了のパターン?」「これはヤバイ」──。

 VALUは個人が売りに出したVAを購入することで、その発行者を支援するクラウドファンディングの一種だ。VA価格は株価のように売買によって日々変動。仮想通貨のビットコイン(BTC)で決済ができ、VAを売却することで利益を得たり、損失をこうむったりする。最初に売り出すVA価格は、自分で決めることができる。

●「売り逃げ」疑惑が騒動

 人気ユーチューバーのヒカルさんらは8月10日にVALUでの売買を開始した。VA価格は連日ストップ高になり、14日にはツイッターで「VALUで本格的に動き出す」と発言し期待を煽った。ところが15日の昼ごろに全VAを売りに出し、数千万円の利益を得たとみられている。その後ヒカルさんのVA価格は暴落。関係者らは事前にヒカルさんのVAを売りに出しており、「売り逃げ」疑惑が騒動となった。

 今年5月末、VALUはサービスを開始するなり、堀江貴文さんら著名人らが続々と参加し話題を集めた。利用者数は9月4日時点で6万7千人を超える。“上場”するのは、主に個人で活躍する人たちだ。組織に所属せず社会的信用を得にくい、こうした人たちを支援するのが、もともとVALUの狙いだ。

 だが、「ヒカル騒動」もあり、なんだか怪しいサービスといぶかる声も少なくない。VA売買による目先の利益を狙った投機筋も次々と参入。実際に「カネ」が動くものの、法的な位置づけは曖昧なまま、ルール整備も後手に回っている。

「現状では、金融商品取引法や資金決済法(仮想通貨法)などの規制対象にはならないでしょう。ただし、詐欺のように問題のある行為は民法や刑法の対象になります。まずは、運営会社などによる自主規制が重要です」

 と、フィンテックに詳しい創法律事務所の斎藤創弁護士は説明する。

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