では、その「漫画を読む技術」をどうやって伝えればよいのか。ヒントは海外での漫画の紹介方法にある。

 こうのさんの作品は海外でも多数、翻訳出版されている。最近はアルファベットの本(左開き)とは逆に、日本語版のまま(右開き)で出版されることがほとんどだ(以前は逆版で印刷し、左開きで製本していた)。欧米の読者は、通常の母国語の本とは逆の開き方で、日本の漫画を読むことになる。

「外国語版の本には、最初か最後のページに、どんな順番でコマを読んだらいいのか、矢印が入った説明が載っています。そのページを読めば、初めての人でも理解できるようになっている。漫画が読めない人もいるのだから、日本でもすべてのコミックスのどこかに『漫画の読み方』を載せればいいのにと思います」

 日本で発達してきた漫画の世界。その魅力を広めていくためにも、『ギガタウン 漫符図譜』でまとめられた漫符は大きな手がかりになりそうだ。(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年2月19日号より抜粋