「中学受験のために引っ越しするべきか」と悩む地方在住の小2母　受験のプロはどう答える？

■「都心にいて中学受験をする子」が幸せとは限らない

安浪：どのような事情で今のところに住んでいるかわかりませんが、もう少し今の状況をポジティブに捉えてもいいかと思います。都心にいて中学受験をやっている子が幸せかというとそうとは限らないわけですし。中学受験率の高い地域に住んでいるがゆえに「周囲がやっているから我が家も」と焦って参戦して、大変な思いをしているご家庭もたくさんあります。

矢萩：関西の有名私立校の出身で、愛媛に帰ってきてキャリアを積んでいる、という方なのかな。でも自分たちがここに住む、って決めているんだから、今の場所のメリットもたくさん知っているのではないかと思うのですが。

安浪：今年の中学入試でも「第一志望の中学に合格しても悩んでいます」というご家庭が少なからずあったんですね。そのほとんどが、第一志望の進学校ではなく、大学付属にすればよかったのではないか、という悩みです。早慶やGMARCHといった私立の大学も、定員削減で昔より入るのが難しくなっていますから。ご質問者さんも、中学から関西の大学付属の中学校に入れば大学まで安泰かもしれませんが、愛媛にいて公立の中・高からその大学に入れるか――そう考えてしまうのかもしれないですね。でも、これって矢萩さんがよくおっしゃっている「進路の逆算」ですよね。それをやって子どもが幸せになれるかどうかはわからない。

矢萩：実は今年、僕の塾でも第一志望の中学に合格したのに悩んでいるご家庭があったんですよ。そこは、親と子どもで行かせたい学校と行きたい学校が違った。親が行かせたい学校は確かに僕もいい学校だと思いました。でも子どもはそこではなく、親にとっては第二志望の学校に行きたいと言う。そうであったら、僕の判断は「子どもが行きたいところに行かせる」。子どもの意向を無視して親が行かせたいところに行かせても、成長にも幸せにもつながりにくいと思うんですよね。