「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。連載「偏差値にとらわれない中学受験相談室」、今回は、中学受験を「勝手に決められた」と子どもに言われて困惑しているお母さんからの相談です。

MENU 子ども扱いをやめ、腹を割って話す 「受験はするみたい」の背景を言語化して 「ごちゃごちゃ言い始めること」は成長のサイン

安浪:小6になって急に「勝手に決められた」って言われると、お母さんとしては戸惑いますよね。

矢萩:小6でそういうことを言い出す子、実は多いんですよ。「今さら?」と思うかもしれないけれど、精神的に大人に近づいてくるのが小6あたりなんです。特に男子はこの頃にようやく成長が追いついてきて、自分の状況をちょっと俯瞰して見られるようになってくる。だから、今の状態に対して違和感を持ったり、「このままじゃ厳しいかも」と見通しを立てたりするようになる。

安浪:それはありますね。あと6年になると勉強もハードになってくるし、お住まいが兵庫とあるので、地域特性もあると思います。やはり関西の塾は6年になるとどんどん追い込んでいくので。今までは楽しくやっていたかもしれないけれど、想定と違うしんどさが出てきたんだと思います。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』(朝日新聞出版)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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