ここ数年続いた男子上位校の人気は一段落し、増減が分かれた。増加したのは、本郷(豊島区)、世田谷学園(世田谷区)、桐朋(国立市)など。一方、巣鴨(豊島区)、高輪(港区)、成城(新宿区)、獨協(文京区)などは減少に転じた。同様に、昨年は志願者が増えた女子校も、増減が分かれた。昭和女子大学附属昭和(世田谷区)はここ数年人気が上昇して難化し、敬遠された。
注目は跡見学園(文京区)で、1749人から2086人と大幅に増加した。
「歴史のある学校で、美術室は日本一と言っていいほど設備が整っています。STEAM教育が注目されるなかで、芸術教育が見直されたのではないでしょうか」(首都圏模試センター・北さん)
24年度に東大合格者が13人と2桁台になった鷗友学園女子(世田谷区)は、1202人から1315人に増加した。
さらに今年は湘南白百合学園(藤沢市)、品川女子学院(品川区)、光塩女子学院(杉並区)などが算数1科入試を行い、女子校の理系化が進んでいることを感じさせた。
多様な入試が中学受験の門戸を広げる
今年は難関校が伸び悩んだのに対して、中堅以下の学校の志願者数が増加した。その理由を、森上教育研究所アソシエイトの高橋真実さんは次のように話す。
「中堅・中位校は、受験の方法が多様化しています。4科2科いずれかを選択できたり、英語資格や新タイプの入試を取り入れたりしている学校も多い。算数や国語の一科入試も増えています。1~2年くらいだけの通塾や個別指導塾での学習で受験をするケースも増えています。さらに中堅の学校は高大連携に熱心だったり、STEAM教育やグローバル教育を強化したりしており、そういった姿勢が保護者や受験生に支持されているのでは」
さらに、首都圏模試センターの北さんは今年増加した学校の傾向を次のように話す。
「今年は例年になく、埼玉と東京の間の城北部にある学校の増加が目立ちました。また、あまり中学受験が浸透していない多摩地区の学校も志願者が増加しており、中学受験の広がりを感じさせました」
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