2025年度の東海地方3県の私立中学受験者数は、岐阜と三重で減少したものの、愛知が牽引し過去最多を記録しました。愛知の受験者は9年連続で増加。25年度は愛知初となる公立中高一貫校が4校開校しましたが、マイナス要因にはならず、逆に受験生の掘り起こしにつながったもようです。

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名古屋の小6男子が増加し、男子校が激戦

 東海地方3県(愛知、岐阜、三重)の2025年度の私立中学のべ受験者数は、岐阜、三重が減少したものの愛知が牽引し、1万6714人と昨年より443人増加した。愛知は678人と大幅に増えて、1万4223人と初めて1万4000人を超えた。受験率も105.0%に伸長。

 25年度は愛知県で初となる公立中高一貫校、明和高等学校附属中学校(名古屋市)、津島高等学校附属中学校(津島市)、半田高等学校附属中学校(半田市)、刈谷高等学校附属中学校(刈谷市)の4校が開校。私立と競合するのではないかという懸念の声もあったものの、逆に中学受験の掘り起こしにつながった。日能研東海(名古屋市)企画情報部長の藤原康弘さんはこう分析する。

「私立を目指していた層が公立に流れるという動きはなく、今まで中学受験を考えていなかった生徒が受験したようです。私立志望者は併願の選択肢が増えたという認識で、実際に併願したのは1~2割程度にとどまったのではないでしょうか」

 愛知の中学受験が活況な理由を、藤原さんはこう話す。

「名古屋市の小6の児童数が昨年より100人ほど増えたことが影響しています。特に男子が139人増えたことで、男子受験生の数が増加しました」

 男子校は多くの学校で志願者が増加し、受験生にとっては厳しい戦いとなったようだ。最難関の東海(名古屋市)の志願者は、24年度の1035人から25年度は1086人。5年連続で志願者が1000人を超えており、人気が継続していることをうかがわせた。南山男子部(名古屋市)の志願者数は786人から902人と、初めて900人を超えて過去最多となった。

 注目は名古屋(名古屋市)で、志願者数が1498人から1594人に増加し初めて1500人を超え過去最多となった。受験生のレベルも年々上がっているという。藤原さんは、「進学実績が非常に良くて、いま最も注目されている学校」と語る。24年の正月におこなわれた全国高校サッカー選手権では、準々決勝まで進み、“文武両道”を印象付けた。難関校と併願されることも多く、たとえば一週早い日程の名古屋で合格を取れれば東海、不合格なら南山男子部を受験するというケースも多かったが、最近では名古屋を第1志望にすえる受験生も増えているという。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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