漠然と、いつかは自分にも訪れるものと考えてはいましたが、実際に症状を体験するのはショックでした。生理と同じく「更年期は病気ではなく自然現象」とも言われますが、そうは言ってもつらいものはつらいよ……と泣きたくなることも多かったです。今思えば、婦人科を受診して自分に合った投薬などを検討すればよかったです。でも当時は「病気じゃない」という言葉が浮かんで、やりすごせばいつかは終わるからと信じることしかできませんでした。
特につらかったのが動悸です。急に心臓がドキドキして冷や汗が出てきて、このまま死んでしまうのでは……と思うほどのこともありました。一方で、気持ちが落ち込むなどの症状はなかったです。だからこそなんとかやり過ごせたのかも……。抑うつ症状に悩む方も多いと聞くので、そういった症状がある場合はすぐに受診したほうがいいかもしれません。
マンガの中では男性の更年期についても描いています。共働きの夫婦ってお互いに「自分のほうが大変じゃん?」と思いがちな気がするので、「私も大変だけど、あなたも大変よね」とお互いを思いやれることが大事かもな……ということを考えました。
更年期×思春期×受験のトリプルコンボ
――マンガの中では、更年期の中で子どもたちの変化にも向き合う主人公の奮闘が描かれていますが、実際にはどんなことが大変でしょうか?
作中では、主人公の子どもは長男18歳、長女15歳。自分の体の変化に子どもの思春期や受験も重なると、もう誰の何を優先すればいいのかわからなくなりますよね。ましてや仕事もあるとなれば……。
私自身も、息子の高校受験と反抗期、そして更年期の始まりが同時期でした。それまでの私は、子どもに対して過干渉ぎみだったので、ここはもう「子育てばかりに真剣になると参ってしまうぞ」という天からのお告げだと思って、自分のことを第一に考えようと心がけました。親がいつまでも子育て中心では子どももしんどいかもしれないし、自分自身をケアすることに罪悪感を覚えないほうが、家庭として健全かなと思ったんです。
次のページへ「頑張ればどうにかなる」という考えがガラガラと崩れていく