――日常生活が戻るまでにはどのくらいかかったんですか?
2週間くらいたってスーパーに食品が少しずつ入り始めましたが、それでも野菜などは手に入りにくかったですね。水も一日だけ試験的に流れましたけど、また断水。上下水道が復旧したのは約1カ月後でした。
自分の人生をちゃんと生きなくては
――震災を経て、アベさんご自身にはどんな変化がありましたか?
ひと言でいえば、何事にも本気で取り組むようになりました。
震災の前も私はイラストの仕事をしていたんですが、実際には鳴かず飛ばずで、「主婦だから、まあいいか」みたいな気持ちがあったんです。
震災のあと、毎日のようにわが家の上空にはヘリコプターが行き来していました。海から遺体安置所まで、亡くなられた方を運ぶヘリでした。
私もその一人だったかもしれないし、私の判断ミスで息子の命まで奪っていたかもしれません。息子と手をつないでたくさんのヘリコプターを見上げながら「私が生きている今日は、亡くなった人が生きたかった明日なのだ」と改めて思いました。
ヘリコプターの中には、生きたいと思っても生きられなかった人が乗っている。そう思ったら、「なんでも本気でやろう」と心から思うようになり、作品を出版社に送ったり、持ち込みに行ったりし始めました。
いま私が何冊も本を出せているのは、震災をきっかけに、自分の人生をちゃんと生きなくてはと思うようになったからだと思います。
【マンガ】震災体験を描いた「被災ママの体験から考える防災」、「ミニマル防災」(『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』/Gakken)を読む(全13枚)
(構成/神 素子)
被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40: 東日本大震災を被災したママ・イラストレ-タ-が3・11から続けている「1日1防災」
アベナオミ


著者 開く閉じる