息子が学校生活に苦労する姿を見た小学1年生のころから、私は息子に合った学校に転校することを考えて、フリースクールを含め、関東圏を回り、いろいろな小学校を見学しました。そのうち、小学校だけでなく、中学校も視野に入れて見てみると、神奈川県に発達障害に理解が深い中学校があるとわかったのです。
見学したところ、教員の発達障害への理解も高く、設備など環境配慮もあり、息子と相談し体験入学をして合意したうえで、中学進学先の第1志望としました。この神奈川の私立中は「いわゆる中学受験」の学校ではなかったので、本番の筆記試験では進学校のような高い学力を求められず、本人や親の面接などがあり、多面的に判断され合否が決まります。
――MBAをどのように子育てに活用したのですか?
例えば、発達障害に効果のある学習支援法に「早修と拡充」という考え方があります。簡単に言うと「早修=学校の教科の先取り学習」「拡充=習い事など学校以外の学び」です。
これに似たMBAの理論に、早稲田大学大学院の入山章栄教授から教わった「両利きの経営」の中の「深化と探索」の考え方があります。これも簡単に言うと、企業がイノベーションを起こすには「深化=会社の中の強みを伸ばす」「探索=本業とかけ離れた知識」が重要という理論です。
私の中で「早修=深化」「拡充=探索」がつながり、息子の学習支援に迷いなく「早修と拡充」を取り入れることができました。
MBAでは「部下に対してどうマネジメントをすれば良いか」「今の課題をどう解決するべきか」といったことを経営戦略的に考える訓練をします。これを子育てに応用すると、ビジネス的な視点から「なぜ学習する必要があるのか」を伝えることができます。すると、わが子であっても、パートナーとして対等に話をして、お互い納得しながら学習に向き合いやすくなります。親が子どもに無理やり学習させる、というアプローチよりうまくいくと思います。
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