息子は、こだわりが強かったり、衝動性があったり、集中力が続かなかったりといった発達障害の傾向が出ていたため、授業中に立ち歩いてしまったり、身の回りの管理ができなかったり、多くの困りごとが出てきました。授業参観に行ったら教室に息子が見当たらず、探してみると、ひとりで後ろのほうで寝転がって本を読んでいることもありました。登下校も危なっかしく、そんな息子が心配で、6年間毎日私が登下校に付き添い、宿題や翌日の持ち物について先生に確認していました。

 息子自身は、学校や友達が大好きでした。それでも、発達に凸凹があると、ほかとは変わった行動をとってしまうので、どうしてもクラスで浮いてしまったり、周りの子に笑われたりする場面があったのはたしかです。

勉強は、息子にとって“身を守る”ための武器

 息子には以前からいろいろと習い事をさせていましたが、やはり発達障害の影響もあり、運動が苦手だったり、不器用なので細かい作業の習い事は苦労していました。でも、勉強に関しては字をうまく書けないしノートは取れないけれど、理解力はあるように感じていました。物事への関心・理解が高いこともわかっていました。

 そこで考えたのが、息子の勉強をサポートして学校内で「勉強で一目置かれる」存在になることでした。サッカーや野球がうまい子がいるように、息子も何か一つ得意なことができれば、自信につながりますし、何よりいじめから“身を守る”ことができるのではと考えたのです。

 集中力が続かない、授業中の立ち歩き、という発達障害のハンデがあったので、「学校では無理して勉強しなくていいよ」と伝え、コツコツと家庭で毎日1時間、先取り学習をして、少しずつ勉強への自信を積み重ねてきました。

子育てや勉強を教える際にMBAの理論が役立った
 

――中学受験はいつから意識し始めたのですか?

「いわゆる中学受験」は6年生の12月に麻布中の受験を決めるまで、まったく考えていませんでした。

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