加齢による白髪は治療がない
――一度白髪になった髪は、もう黒くならないのでしょうか。
元の黒い状態に戻すのは難しいですね。同じ加齢変化でも薄毛は内服薬や外用薬など効果的な治療がいくつかあるのですが、白髪の治療法は確立されていません。血小板の中に含まれている成長因子を注入する治療を行う医療機関もありますが、確実な効果は期待できないのが実情です。
ただ、病気によって白髪になることがあり、その場合は病気が治れば元に戻る可能性があります。
たとえば尋常性白斑は、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまう病気で、毛髪部にできるとその部分が白髪になることが少なくありません。メラノサイト自体は残っていることが多く、光線療法やステロイドの外用薬でメラノサイトが回復すれば、髪も黒く戻ります。また、円形脱毛症は回復過程で最初に生えてくる毛髪は白髪のことが多いですが、少しずつ黒くなっていきます。病気が原因の場合は適切な治療を受けることが大事です。
――病的な白髪の場合、生え方に特徴がありますか。
10代から若白髪があったとしても、黒髪に交じってパラパラと出てきて少しずつ増える場合は、異常や病気ではありません。一方、「部分的にかたまって白髪が生えている」「白髪の量が一気に増えた」「眉毛やまつ毛も白くなっている」といった場合は、病気の可能性があります。早めに皮膚科を受診してください。

(取材・文/熊谷わこ)
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