保育園や幼稚園を卒園すると赤ちゃんの頃からの成長を振り返って感慨深いもの。3人男児の子育てをしているコミックエッセイストtomekkoさんは、大変だったお産や育児を思い出したといいます。夫が知らない子育ての壮絶な部分、このまま母の心にしまい込んで「なかったこと」にしてよいのか――そんな思いが湧き出たtomekkoさんがつづります。
早いものでついこの間おなかから出てきたと思っていた三男がこの春小学生になります。もうお風呂も子どもだけで入るし、本は自分で読むし寝かしつけがいらなくなる日も近そう。楽にはなったけれど、やっぱり寂しいですね。
上の子たちも成長して、親との関係性にも変化が出てきました。中学生の長男は私より夫のほうが話しやすそうだし、次男の野球のことは夫にお任せしています。夫婦ともに働き方に柔軟性が出てきたり、子どもたちの送迎や通院などは分担したり……。忙しいことは変わりないけど、今のところ二人三脚で「親業」ができるようになっています。
と、それなりにうまく育児が回っていると感じる一方、些細なことをきっかけにモヤモヤした黒い感情が心の奥に湧き上がるのを抑えることができません。それは、
(あの0~1歳児の頃の壮絶育児は一体なんだったん?)
という思い。
時は13年前。まだ首も座らない、ひとり座りもできない赤子をひとりでお風呂に入れ、自分も入浴するのは至難の業でした。毎日この時間が来てほしくない、でもやるしかないのでありとあらゆる工夫をしながら乗り切っていました。
服を脱がしてあとはオムツを外すだけの状態にし、バスタオルを広げたハイローチェアに寝かせて寒くないようタオルケットを掛けたらベルトで固定。それをお風呂のドアの前まで引っ張ってきておいて高速で自分を洗い、待機させていた赤子を抱いてお風呂へ。お風呂用のベビーチェアに寝かせて洗って湯船に浸かったら、自分はずぶ濡れの素っ裸で自然乾燥しながら赤子のケアを最優先。体を拭き保湿剤を丹念に塗ってオムツと服を着せた後は放心状態でした。
次のページへその間夫は何してたんだって?