「親子の受験」ともいわれる中学受験。長く険しい中学受験という道を選択する意味とは? 中学受験のプロ家庭教師・安浪京子先生にお話を聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids2025春号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【マンガ】中学受験で「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母が、「路線変更」を決断して“わかった”こととは(全38枚)わが家の教育の軸を立て優先順位を決めよう
中学受験は「やってもやらなくてもいい受験」です。だからこそ、なぜ膨大な時間やお金、労力をかけてまで中学受験するのかをご家庭でしっかり話し合っておく必要があります。そのためには、まず大前提として「我が家は子育てで何を大切にするか」という“教育の軸”があり、その上で“受験の軸”を持つ必要があります。それらなくして「勉強しないよりはする方が良いだろう」「とりあえずやってみて、違うと思ったらやめればいい」とスタートしてしまうと、壁にぶつかった時に右往左往してしまいます。
最大のメリットは「学び場を選べること」
中学受験の最大のメリットは、「学ぶ場(中学校)を選べる」ということ。また、少子化にともなって学校も生徒を集めるのに必死ですから、最近は入試形態が多様化し、選択肢が増えました。そのため、中学受験に対する考え方のハードルも下がり、受験者数は高止まりしています。
一方、デメリットは、やはり受験勉強にかける膨大な時間と教育費。東京都では、私立中学の助成金制度や、私立高校での授業料無償化制度を推進する流れがありますが、それでも施設費や、制服代、交通費など、必要となる金額は少なくありません。
中高一貫教育であればなおさら、本当にその学校の教育方針がご家庭の教育方針と合っているか、経済的に過度な負担がないか、しっかりと見極め、賢く選択する必要があるでしょう。
最近はGIGAスクール構想で小学校の授業でもタブレットを使った学びが増えていますが、中学受験に関しては、とにかく鉛筆とノートを使って手を動かし、脳に多くの情報をインプットさせる従来型の学びが重要になります。逆に言えば、そうした地道な勉強こそが、お子さんの考える力にもつながるのです。
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