「ゲーム依存」に陥る小学生が増えています。ゲーム好きな子どもは多いですが、どんな子が依存になりやすいのか、依存の兆候がある子に親はどう対処すればいいのか、ゲーム依存に詳しい久里浜医療センター名誉院長で精神科医の樋口進さんに話を聞きました。
【図】「ゲーム依存」診断に用いられる4つの症状とは?いつでもゲームができる環境は依存につながりやすい
――生まれつき「ゲーム依存に陥りやすい子」はいるのでしょうか?
「発達障害」は大きなリスク要因です。特にADHD(注意欠如多動症)は衝動性が高く、自分をコントロールする力が弱い。さらにふだんは不注意なのに、いったんスイッチが入ると何か一つのことをわき目もふらずにやり続ける「過集中」の傾向もあるので、ゲームにのめりこんでしまいやすいんですね。一方、自閉スペクトラム症の場合はこだわりが非常に強く、ゲームにもとことんこだわることが依存を引き起こしているとも言われています。
また発達障害の子どもは、対人関係をうまく築けないなど、社会で生きづらさを抱えています。オンライン上のバーチャル世界での居心地の良さが、依存に拍車をかける要因にもなっています。
――育ち方やふだんの生活といった「生育環境」は影響しますか?
まず「インターネットやゲームの開始年齢が早い」のは、明確な危険因子です。
親や兄弟がゲーム好きでしょっちゅうゲームをしているなど周りにゲームを推奨する人がいる、あるいはいつもそばにゲーム機やスマートフォンがあって日常的にゲームができる環境で過ごしている場合も、ゲーム依存になる危険はきわめて高くなります。
また、小さいときに虐待を受けた子や、親にあまり愛情をかけてもらえずに育った子は、ゲーム依存になりやすいとされています。
ゲーム中心に生活が回っている子は要注意
――ゲーム依存が疑われる症状を教えてください。
当院(久里浜医療センター)では、WHO(世界保健機関)の診断基準に沿ってゲーム依存の疑いがあるケースをふるい分ける「ゲームズテスト」を作成し、公開しています。チェックリストとして活用してください。
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