――身体の発達や、運転技術が未熟であることも、自転車事故に関係しますか?

 まだ身長が低くて、遠くまで見通しにくいのはたしかです。加えて「リスク予測」が未熟で、事故につながってしまうこともあると思います。保護者に「右左をよく確認しなさい」と言われて、その通りの行動をとったとしても、リスクに結びつけて判断できているとは限りません。かっこいい車だなとか、物陰にネコがいるなとか別のことに気を取られていることもあります。大人にとっては当たり前であっても、「曲がり角から車が出てくるかもしれないよ」「あの車はすごくスピードが出ているよ」など、具体的にリスクを説明することが大切です。

 また、握力が弱くてブレーキを十分に握れないケースもあります。10年ほど前から、未就学のうちにペダルなしの自転車に乗り、そのまま補助輪なしの自転車に乗り換える子どもが増えてきました。ブレーキをかける習慣がないまま自転車に乗ることは大変危険です。初めて自転車に乗り始めるときは、しつこいぐらいにブレーキの使い方を教えてください。

 ブレーキ幅が広くて握りにくかったり、握り具合が硬かったりする場合は、自転車屋さんで調整してもらえます。一度、相談してみるといいでしょう。

自転車のペダルで、駐車場の車に傷をつけてしまう

――子どもの自転車運転は、大人が想像もしないようなリスクがあるのですね。

 小学生はまだ経験が浅く車幅感覚が十分でないので、大人が見たら「絶対に通れない」と思うような隙間を自転車で通行しがちです。怖いのは、駐車場に止まっている車の間を通り抜けようとして、自転車のハンドル周りやペダルを車体にこすってしまうケース。“10円パンチ”のような傷がついて、弁償しなければならないこともあります。一昔前であれば、破損部分だけの板金で済み、修理代は2万~3万円程度でした。ところが、最近は車の構造上、ドアごと取り換えなくてはならず、修理代が20万~30万円もかかるケースもあります。もしもバンパーにぶつかってコーナーセンサーが破損すると、修理代はさらにかさみます。子どもには「車のあるところでは遊ばない」と約束しましょう。

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