生まれながらに、人より優れた能力をもつといわれる「ギフテッド」。高いI Qを持つ場合が多い一方、何らかの発達障害傾向があることも少なくなく、日常や学校での生活、人間関係に悩むケースもあるといいます。そもそも、「ギフテッド」とは何なのか、発達障害との関連について、発達障害の専門医、岩波明先生に聞きました。

MENU 「ギフテッド」に明確な基準はない エジソンやピカソも「ギフテッド」に当てはまる

「ギフテッド」に明確な基準はない

――近年、映画やドラマの影響もあり「ギフテッド」という言葉をよく耳にします。知的能力が人よりもずば抜けて高い人のことを指すと言われますが、定義は?

「ギフテッド」には、実は厳密な定義はありません。定義がないというより定義がバラバラと言ったほうが正確でしょうか。一般的に使用されているギフテッドのイメージはあいまいですし、そもそも疾患ではないので、医学的に明確な基準がないのです。

 ただ、大きく分けるとギフテッドには二つのケースがあると考えています。一つは、幼いころから、知的能力を中心に全体的な能力が非常に高い人を指す場合。もう一つは、音楽や芸術、数学など、特定の分野の能力が突出している人です。また、高い能力を持つ一方で、何かしらの発達障害を併発しているケースは少なくありません。

――なぜ「ギフテッド」が生まれるのでしょう。遺伝はあるのでしょうか?

 ギフテッドに関しては、遺伝性を証明できる明確なデータはありませんが、発達障害は、一部に遺伝的な要因があると考えられています。ですから、おそらく、ギフテッドに関しても遺伝の可能性はあると言えるでしょう。ただ、なぜギフテッドが生まれるかについては、はっきりした理由はわかっていません。

――ギフテッドと言われる人たちは、どれくらいの数いるのでしょうか?

 世界中にどのくらいの数のギフテッドがいるかという統計も現時点ではありませんが、アメリカで独自にとられた統計によれば、知的能力に基づいた数字では、米国国民の約6%がギフテッドに当たるというデータがあります。おそらく他の地域においても、これに近い割合で特別な能力を持っている人はいると考えられています。

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玉居子泰子
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