――昔から、ギフテッドは存在していたのですか? 

 古くは15〜16世紀に活躍した画家レオナルド・ダ・ヴィンチや、18世紀の天才音楽家モーツァルトなどもギフテッドだったと考えられます。「ギフテッド」が定義づけられたのは、19世紀末ごろだと考えられています。

エジソンやピカソも「ギフテッド」に当てはまる

 今日のギフテッドに相当するサヴァン症候群を発見したのは、イギリスのジョン・ラングドン・ダウン医師でした。彼は、ダウン症の発見者でもある高明な医師で、知的障害や重い発達障害を持つ人たちの中に、音楽や芸術、数学などの特定の分野において、飛び抜けた才能を発揮する人や、非常に高い記憶力を持つ人がいると気づきました。

 それまで見過ごされてきた、こうした人たちの高い才能に目を向け、彼らの特性を「イディオ・サヴァン」と名付けました。ダウン博士の症例は知的障害を伴っていましたが、その後、言葉の定義は変遷し、現在のギフテッドは高い知的機能を持つことが特徴的です。発明王のエジソンや、偉大な画家ピカソなどもおそらくギフテッドに当てはまるでしょう。

――現代で「ギフテッド」と呼ばれる人には、どのような人物がいますか?

 ビジネスマンや社会に改革をもたらす起業家の多くも、ギフテッドの要素を持っています。例えば、台湾でIT改革を興したオードリー・タン氏、世界有数の資産家でビジネスマンのイーロン・マスク氏。ほかにも、楽天グループの三木谷浩史氏や、「ニトリ」創業者の似鳥昭雄氏のような、日本社会を牽引する起業家たちの多くも、そうだと考えられるでしょうね。

 ――「ギフテッド」はさまざまな分野で活躍しているのですね。

 幼いころから天才的に楽器がうまかったり、難しい漢字をすべて覚えられたり、数学的な能力がずば抜けていたりする人もいますし、スポーツの世界で活躍している人もいます。「ギフテッド」という言葉を使わなくとも、発達障害があって特別な才能や並外れた能力を持つ人がいます。

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