■親が気に入った学校をゴリ押ししない

安浪:そうですね。あと、このご相談者さんはお母様が気に入った学校を見つけた、と書いてありますが、その学校と息子さんの相性がいいかどうかもわからないですし、あまり決め込まないほうがいいかもしれないですね。

矢萩: 親御さんがまず選択肢を絞って提案する、というのはきっかけの一つとしてはいいと思います。それこそ無数にある学校の中から自分で選びなさい、というのは小学生には難しい。ただ親が気に入った一校をゴリ押しするんじゃなく、気に入った学校が一つでもあったのなら、ある程度数を見ていけば必ず似たような印象を持つ学校が何校かあるはずなので、いくつかチョイスして本人を連れて行って様子を見る、といった方法がいいですね。

安浪:ある知り合いの経営者のお母様が、お子さんが気に入る学校を見つけるために何校も学校見学に行って、15校目にしてお子さんが「この学校がいい!」と言ったところがあった、とおっしゃっていたんです。経営者をやっているぐらいですから、たぶんいい学校を見て「いいな」と思うポイントはいろいろお持ちだったと思うのですが、それをお子さんに一方的に押し付けず、いろいろ一緒に見て回ったんでしょうね。「私と娘とでは見るポイントが違いました」とおっしゃっていて、素敵な話だな、と思いました。

矢萩:とにかくバリエーションを見せることは大事でしょうね。ただ小3、小4ぐらいだとピンとこないことも多いです。学校というものにピンとくるんではなくて、「生物部の人に化石をもらった」といったことに舞い上がってしまったりしちゃうので。ちゃんと見せるなら5年生以降がよいかな、と思います。

(構成/教育エディター・江口祐子)

著者 開く閉じる
安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

1 2 3 4