■子どもは2週間以上先のことをリアルに感じられない

安浪:この学校に絶対行きたいというものがあって、やらなきゃいけないと本人もわかっているんだけどできない、という状況であれば、親がつきっきりでやったり、家庭教師など第三者についてもらったりするなどして、ある程度強制的にやらせる環境を作るしかないと思うんです。自分一人ではできないからパパママ一緒にやって、と子どもが言ってくることだって普通にありますし、それは一概に悪いことではないです。もちろん、本人が望んでいないのに、無理やり大人がお膳立てしてしまうのは問題です。親が勝手に私の指導を詰め込んだご家庭に行ったこともありますが、子どもは「え?今日先生の授業なの?」という感じで、完全にやらされ勉強モード全開で、授業をしていてもなんだかなぁ、という感じでした。

矢萩邦彦さん

矢萩:やっぱり主体性が一番大事ですよ。主体的でさえあれば、詰め込みだって学びにはなります。あとは親の焦りと子どもの焦りはずれがある、ということを認識してほしいですね。私が焦っているのにあなたが焦ってないのはおかしい、と思わないでください。だいたい子どもは2週間以上先のことはリアルに感じられないものです。直前期って言ったってまだあるよね、と思っていますから。

安浪:冬休みが始まれば、冬期講習があるので、そこでちょっと生活スタイルが変わるから、そこを一つ契機に何かしらの変化は出てくると思いますけどね。皆さん、何でもかんでも「これを言えば子どもが変わるはず」のような言葉を求めようとされますが、声かけ一つで変われば苦労しませんよね。それほど簡単なものではないとわかっていただきたいです。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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