■分相応のところに落ち着いてくるもの

安浪:よく、塾は上のクラスから入ったほうがいい、下のクラスから入って後から上のクラスに上がるような下剋上は滅多にない、といった話も聞きます。それって、上のクラスは難しい問題をやってそれがテストにも出るけれど、下のクラスはそこまでやらないから、難しい問題がテストに出ても解けないよね、というロジックなんですね。確かにそういう見方もできると思うんですが、だからといって入塾のためにいろいろな問題集をやり込んで上位クラスに入っても、すぐ落ちてしまうことも多いです。クラスなんて、結局は本人の分相応のところに落ち着いてくるものです。だから矢萩さんがおっしゃるように、ある程度まっさらな状態で入って、勉強のやり方を試行錯誤しながら上がっていくのが本来の実力だと思います。

安浪京子さん

矢萩:そうですね。先ほども言ったようにポジティブにできるならいいけれど、準備、準備、って焦っちゃうぐらいなら、もはやノー準備でやったほうが本質的な学びや成長につながるんじゃないかと思います。

安浪:親がお膳立てして、先取り先取りってずっとやっていると4年生の間はうまくいっても、5年生になったら回らなくなって、6年生になったらもっと回らなくなることってよくあります。もしこの塾って決め打ちしていないなら、3年生の入塾テストなら国語と算数しかないと思いますから、とくに準備なしで受けてもいいと思いますよ。算数の計算は学校のテストよりは難しいものが出るかもしれませんが、あとは対策しようがないような問題が出ます。国語は何かしら書けばめったに0点にはなりませんから、そこで入れてくれた塾がご縁があるところ、と思ってもいいと思います。3年生の入塾テストは点数を取れる子は取れるし、逆にすごい賢い子でも取れないこともある。その子の本当の能力は測れない、と思っていいと思います。

矢萩:一つ裏話をしておくと、低学年の入塾テストって点数はあまり見てないケースもあります。要は授業をちゃんと受けられるかどうか、というところを見ているんです。ちょっと対応が大変そうだな、という場合は、断る口実として入塾テストで落とすことにする、ということもあるんです。

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