■テストよりその後の生活をイメージしてみて
安浪:たしかに。あとは入塾テストの対策というより、その後の生活をイメージしておくほうが大事かもしれないです。つまり、入塾すると、塾に通って、宿題もやって、という生活が始まります。いきなりだとちょっとハードルが高いんですよね。よく4年生のうちは学習習慣をつけましょう、と言われますが、それもいきなりは大変です。だとしたら、入塾テストをクリアするための勉強じゃなくて、塾に入ってそれなりに回るように、学校の宿題以外で何か取り組む習慣をつけておいたほうがいいと思います。それは別に問題集やドリルである必要はなくて、何でもいいです。好きな図鑑を見るとか本を読むとか。学校の宿題が少ない学校に通っているならとくにそうです。
矢萩:何か対策をしないと心配で、かつ何をやったらいいかわからないんだったら、本を読んでおきましょう、と言いたいです。結局テキストデータ、つまり文字を読んで考えて、文字で書くっていうのが勉強全般でも入試でも基本になるわけですが、やっぱり学校の教科書だけだと触れる文字量が少なすぎるんですね。だから教科書や問題集を読むだけでなく、文字慣れはしておいたほうがいいと思います。ジャンルはなんでもよくて、子どもが楽しいと思えるようなテーマのもので構わないです。
安浪:テストって結局書かないとダメですからね。だから文字を書く習慣は大切ですね。
矢萩:あと、量が質に転じる、みたいなことって小学生の学びでもあって。例えば僕が今までかかわったなかだと、「うちの子、ライトノベルばっかり読んでいて、他のものは全く読まないんです、どうしたらいいでしょうか」という親御さんからのご相談が何件かあったんですが、読んでいるライトノベルの量が尋常じゃない子たちは、みんな中学受験でもうまくいっていますね。圧倒的な量の文字を読むという経験は、確実に国語力に影響してきます。まずは何か好きなものを見つけて何でもいいからたくさん読むっていう経験ができるといいと思いますね。
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