矢萩:繰り返しになりますけども、これからの時期って、一番伸びるんですよ。夏が天王山だって言ったところで夏に本気になれる子どもなんてほとんどいないんです。あと3ヶ月とか何週間とかと言われて、やばいってなってからが子どもはすごく伸びるんです。まあ、みんなが伸びるので偏差値などは出にくくなるのですが、ちゃんと成長を見守ってほしいですね。

安浪:…といって皆さんを励ましたいですが、実は最後までエンジン掛からない子もいますよね。
 

矢萩:それはいます。それは単純に、中学受験が今じゃなかった、てことですよね。

安浪:タイミングじゃないということはわかっていても、そこに目をつむってやらせたい、どこかに入れたい、という親御さんのお気持ちもわかります。そこまでしてでもやっぱり我が子にはより良い環境で学ばせたい、という気持ちがわかるから、全てを否定はしないです。
 

矢萩:僕はだったらやめてもいいんじゃない?と思う派かな。やっぱり中学受験の時に無理やりやらされている感が子どもにあって勉強が嫌いになってしまうと、その体験がトラウマになって中学生、高校生になってから学びに対して素直になれなくなってしまうケースって結構多いんですよ。そう考えると、どちらにしろ本人が納得した上で受験に臨むところには持っていってほしいなと思います。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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