矢萩:あー、よくありますね。
安浪:とにかく模試の偏差値は5とか10ぐらい幅があるのはふつうです。そもそも私はこれからの時期は模試の偏差値はあまり気にしません。模試なんて、あらゆる学校のあらゆる生徒が対象だから、そこから出る偏差値にあまり意味はないと思っています。最も気になるのは過去問でどれぐらい取れるかです。逆に模試の結果では「合格率80%出ました」と言われても、過去問を見るとこれは厳しいかも、と思うこともあります。
矢萩:問題との相性は重要です。知窓学舎では受験校はご家庭と話し合いながら直前に決めることもよくあるのですが、どこでもいいわけではなくて、本人の希望に合わせて似た傾向がある問題を出す学校とか、あまり特殊な問題を出さない学校を選んでいきます。特殊な問題が出るにしても、そういう問題と相性がいいとか、その問題を落としても基礎をしっかり取れれば合格できるような学校を選択肢として残します。あまりにタイプが違って、負担が増えるようなことはしないですね。
安浪:それ、すごいわかります。具体的に言うと、名古屋にある南山中学校女子部では、算数によく「コンパス問題」と言われるコンパスを使った作図問題を出すんですね。これって塾のテキストでは対策できないので、「どうしたらいいでしょうか」と聞かれたりするんですが、コンパス問題を取れなくても他で取れるようにしましょう、というのが答えなんですね。みんな条件は一緒なんだから、対策できないなら、他で取ればいいだけです。
矢萩:できない問題が一つでもあると、すごく不安になってしまうのですが、基礎がしっかりできれば、あともう数問できれば合格できる学校は多いですからね。
安浪:そうそう。ミスを少なくするのは大事ですね。
矢萩:似たようなカラーの学校って、似たような傾向の問題を出してくることが多いので、そういう傾向をしっかり見ることですね。
■夏に本気になれる子はほとんどいない
安浪:このご家庭が第1志望はこのままいこうとなったときにでも、第2と第3の学校が最終的に固まるのは多分11月末とか12月とかになると思うんですよ。その頃に過去問をやってみて意外にここが取りやすかった、とか、この学校はあまり考えていなかったけれどちょっと過去問をやらせてみたらすごく取れるんですけど、この学校は先生どう思いますか?みたいなご相談は毎年年末ギリギリぐらいまでたくさんいただきますね。もちろん、過去問のデキだけで学校を選ぶわけではないですが、過去問は学校からのラブレターなので、過去問の取れる学校は学校に入ってからもいろいろと相性の合致する部分があると思います。
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