安浪:屋外に次いで屋内、さらに学習寄りの話となると、“低学年の間は学習習慣をつけましょう”という話題がよく出ますよね。この数年、私が声を大にして皆さんにお願いしているのは、「鉛筆を持たせてください」ということです。今の子どもたちはデジタルネイティブですから、学習自体もタブレットやパソコンで学習することが多く、みんなきちんとした字が書けないんです。

矢萩:ああ、それはありますね。

安浪:なぜ鉛筆を持ってほしいかというと、4年生になって塾に行っても、字がふにゃふにゃでまっすぐな線が縦にも横にもひけない子がすごく増えているんです。だから数字も漢字もふにゃふにゃ。「うちの子、ノートが汚いんです」とおっしゃる親御さんも多いですが、そもそも鉛筆をきちんと持てていない。正しい持ち方ができないのは百歩譲るとしても、まともな線が書けないのはツラい。これは家庭でなんとかしてもらいたいです。

矢萩:「書く」という基本動作ですよね。これはある程度練習しないとダメかもしれません。

■学校の宿題をバカにしては絶対ダメ

安浪:そうなんです。おしゃべりな子が国語力があるかというとそうではないのと同じで、絵が好きでよく絵を描いているのと、まっすぐ線が書けるというのはまた別の話かな、と。ノートに図形を書かせても、平行な線が書けないどころか、四角形の書き始めと書き終わりの点が合わない子も多いです。「書く練習」って何ですか?と思われるかもしれませんが、まずは学校の宿題をちゃんとやることからだと思います。みんな学校の宿題より塾の宿題のほうが上位だと思っているようですが、塾のカリキュラムと違って、小学校の教育課程は子どもの発達段階を考慮したものになっているんです。あと、多くのご家庭でないがしろにしがちな音読は、とても大切です。国語の読解ができない子は、そもそも音読がきちんとできない。学校の宿題をバカにしては絶対にダメです。

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