矢萩:あとは「御三家を狙うような塾」と一口に言っても、「御三家を狙うクラス」なのか、「御三家を狙う子がいる塾の中堅のクラス」にいるのかで、話は違ってきます。この質問の中にもいろいろな問題が絡みあっていて、どう優先順位をつけて解決すべきか、お母さんご自身の中でも決め手がないというか、判断できない状態なのかもしれないですね。とにかく、お母さん自身が抱えている不安にちゃんと向き合ったほうがいいです。お母さん的に今の塾を変えたい、と思っているのは、その塾に任せておけない理由があるのか、娘さんの気持ちを変えたいのか、しっかり言語化して整理することが大事ですね。
■外側の箱を変えたところで解決しない
安浪:少しつらい話になってしまうかもしれませんが、不登校を経験した子が、中学受験でリベンジしても、中学入学後の5月ぐらいからまた不登校になってしまうというケースも少なくないんです。環境を変えてどうにか打破したいと親は思っていても、もっと根本的な問題があるとしたら、外側の箱を変えたところで解決しないんです。なぜ不登校になったのか、なぜ中学受験したいのか、なぜ今の塾がいいと言っているのかなど、ひとひとつ棚卸しする必要があると思います。
矢萩:とはいえ、不登校の原因に向き合って究明しようとしても実際には難しいです。もし、原因の1つが見つかったとしても、気をつけたいのは、「原因=悪い」ではないということ。子どもと話すときも、原因と良し悪しの評価を切り離して話さないと、「やっぱり私が原因なんだ、悪いんだ」って思ってしまって、自己肯定感も下がってしまいます。
安浪:たしかに、何かのきっかけで不登校になることもありますが、それは不登校の原因ではなく、きっかけでしかなかったりするんですよね。お子さんに行きたい学校がある、そして塾は今のところで頑張りたいと言っている、と書いてありますが、その言葉だけでは見えてこないことがたくさんあって、お母様もお子さんともっと会話をしてみたほうがいいような気がします。今は塾も半分ぐらいしか行けていないけれど、もっとユルい塾に転塾すれば元気に通えるんじゃないか、っていう希望的観測をしているような…。
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