矢萩:ちゃんと対話をする、ということは、相手が言っていることをしっかり聞いた上で、それを受けてこちらの意見を返すことですが、その際、対話の中で自分の考えが変わる可能性をちゃんと認識する必要があります。塾を変わったほうがいいかどうかは、まずこのようにちゃんと対話をしてみないとわからないです。それに、極端な話をすると、塾を変わったところで、状況が劇的に良くなるケースってけっこう稀です。たまたま相性のいい先生に巡り合えるかどうか、という宝くじみたいな要素も大きいので。塾を変わることに希望を持つよりも、自分たちのメンタルを変えていって、それからよりベターな塾を探していきましょう、という順番のほうが確実にポジティブかなと思いますね。
安浪:お子さんが下のクラスでもいいから今の塾で頑張りたいって言っているのって、すごく複雑な気持ちがいろいろあるんだろうな、と想像してしまいます。真面目な子ほど「嫌でもここで頑張らないと自分がダメになってしまうのではないか」と思ってしまったりするんですよ。贖罪意識というか。もしそう思っているんだったら、まずはそのまま頑張ってみたら?って応援してあげたほうがいい子もいるし、そこまで頑張らなくても、あなたはあなたでいいんだからって言ったほうがいい子もいます。もしかしたら今、頑張って学校に通えるようになったのも、精一杯無理しているからかもしれないですし、単に学校行けるようになったからと手放しで喜べないと思います。まずはもっともっと親子で話していただきたいですね。
(構成/教育エディター・江口祐子)
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