言葉にならないその気持ちに寄り添い、あたたかなまなざしを向け、会話を増やし、喜ばせてあげる、そうやって関係を修復していただきたいと私は思います。自分一人でできないときには、専門家に相談してみましょう。

■「ぼくと赤ちゃん、どっちがかわいい?」と聞かれたらなんて答える?

 いまから25年も昔の話ですが、私も「上の子に寂しい思いをさせてしまった」と感じることがありました。長男が6歳のとき、長女が誕生したのです。

 息子は寂しかったのでしょう。毎晩毎晩、布団に入ると「ぼくと赤ちゃん、どっちがかわいい?」と聞くのです。

 私の本心は「どっちも同じくらいかわいい」です。それでも息子は「あなただよ」という言葉を求めているのだと感じました。だから私はいつも「あなたが一番かわいいよ」と答えました。息子はその言葉を聞くと、「ふう」と満足そうなため息をついて眠りに落ちるのです。安心するんですね。 

 同じようなことを上の子に聞かれることがあると思います。そんなときには、「あなたよ」でいいと私は思うのです。だってわが子は、どちらも一番。だったら「あなたが一番」でもいいんです。罪悪感を持つ必要はありません。 

 そして下の子中心になりがちな育児を、少しずつでも上の子中心にシフトしていきましょう。

 私たちは無自覚のうちに「2人の関係」をつくってしまう傾向があります。下の子のお世話をするときも、「あなたは待ってて」とか「うるさい」と上の子を排除してしまいがちです。でも、3人の関係づくりが大切です。上の子に「おむつを持ってきてくれる? ありがとう、助かるなぁ、さすが、お兄ちゃんだね」などと手伝ってもらう場面を増やせたらいいですね。

■上の子が喜ぶことは何かな? 「うれしい」を暮らしの中に

「上の子かわいくない症候群」に陥っているときに、どうすれば「かわいい」と思えるのでしょう。

 私は、上の子を喜ばせてほしいと思います。それはテーマパークに連れていくとか、高価なプレゼントをあげるとかではなく、暮らしの中の小さな「うれしい」を共有することだと思っています。

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