暮らしの中の「うれしい」とは、「ねえ、このタオル、ふかふかで気持ちいいよ。触ってごらん」「ほんとだ!」という、ささいな会話です。「今日はあなたの好きなハンバーグだよ」のあとの笑顔です。「赤ちゃんがやっと寝てくれたから2人で絵本を読もうか」と寄り添う時間です。

 子育てのあわただしい時間をやりくりして、上の子と笑い合ってみてください。「かわいいなあ」という気持ちをちゃんと取り戻せると思います。

 子どもが小学生だったら、いっしょに料理を作るとか、アイドルやアニメの話をするのもいいですね。そういう時間が親子の関係を再構築してくれるのだと私は思います。

 イライラしたり、怒りが抑えられなかったりするときもあるでしょう。そういうときには上の子に「今日はママ、頭が痛くて怒っちゃった。少し寝てもいい?」と説明すれば、幼いなりに納得してくれるものです。

 それでも「上の子がかわいいと思えない」という場合には、専門家に相談することをおすすめします。子育て支援センターや、子どもの一時預かりをしているこども園などでもいいかもしれません。もし誰かに相談して、「母親なのに、子どもをかわいいと思えないなんておかしい」などと言われたら、「相談相手を間違えた」と思って仕切り直ししましょう。

 繰り返しますが、子どもをかわいいと思えなくなるのは誰にでもあることです。そして親子関係を修復して「かわいい」を優勢にすることもできるのです。でも対策は早いほうがいい。それだけは覚えておいてほしいですね。

(取材・文/神 素子)

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