キッチンのカウンター下はなんとなく置かれた書類や小物がいっぱい/Before
キッチンのカウンター下はなんとなく置かれた書類や小物がいっぱい/Before

 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

【写真】見違えるほどキレイになったAfterのキッチンはこちら

*  *  *

case.10 片づけたら母も息子も自分が大好きになった
(夫+子ども1人/会社員)

 物を捨てることが苦手で片づけを後回しにするうちに、家の中が物であふれ、安心して暮らすこともできなくなって、心に影響が出ている人を多く見てきました。

 今回ご紹介する女性も、もともとは明るい性格。子育て、子ども会の役員、仕事と慌ただしい日々の中、部屋に物が増え、だんだん窮屈になって、焦りと不安で余裕がなくなったと言います。

 明るい自分でいられる職場は彼女にとって“逃げ場”。大切な居場所だからこそ、評価してもらうためにがむしゃらに働き、残業する日も多かったとか。家事はますます回らなくなりました。

 帰宅してバタバタと食事を作り、洗濯はなんとかするけど、ほかはまったくやる気が起きず自己嫌悪。そんなときほど息子のできていないところが目について怒鳴ってしまう。息子は「ママごめん、俺のせいで」と謝ってばかりいたそうです。

 気がつけば息子は「どうせ俺なんか……」が口癖で、すぐに卑屈になり、友だちと遊んでいても疎外感を抱くようになりました。学校でトラブルを起こすことも、増えていきました。

 ある時、息子が友だちに仲間外れにされたと言うので、彼女がその友だちのママに伝えると、逆に「母親がしっかりしないと、子どもも変わらないよ」とキツく言われてしまいました。子どもの不安定は母親の影響だと見抜かれたのです。

 他人に痛いところを突かれボロボロになったとき、彼女の家もかつてないほど荒れていました。一年前はまだ、4LDKの一部屋をつぶして物を押し込めば人を呼べたのに。「やっぱり変わらないといけないのは自分かも」と思いはじめたときに、プロジェクトのお知らせを目にしたのです。

 彼女が参加したのは、ZOOMを使ったオンライン講座でした。大人数でのオンラインの片づけを成功させるために、朝6時から集中して片づける「朝活」にトライした講座でした。

著者プロフィールを見る
西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

西崎彩智の記事一覧はこちら
次のページ
夜逃げの勢いで家からものを運び出す