富士山の噴火想定で神奈川にも溶岩流の可能性 3時間後に火山灰で「首都機能マヒ」の根拠 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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富士山の噴火想定で神奈川にも溶岩流の可能性 3時間後に火山灰で「首都機能マヒ」の根拠

野村昌二AERA
300年以上鳴りを潜め、いつ噴火してもおかしくない状態の富士山。噴火すると被害は首都圏に及ぶ可能性があり、首都の備えも急務だ(c)朝日新聞社

300年以上鳴りを潜め、いつ噴火してもおかしくない状態の富士山。噴火すると被害は首都圏に及ぶ可能性があり、首都の備えも急務だ(c)朝日新聞社

 富士山噴火想定のハザードマップが、17年ぶりに改定された。噴火したらどうなるのか。あの巨大地震と「連動」する可能性も指摘される。地震と豪雨の「災害」を特集したAERA 2021年6月7日号から。

【富士山がもし噴火したら溶岩流はどこまで? 到達可能性の地図はこちら】

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 神奈川県山北(やまきた)町。総務防災課の担当者は、戸惑いを見せる。

「まさか、溶岩流は想定していませんでした……」

 今年3月、山梨、静岡、神奈川の3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」は、富士山の噴火を想定したハザードマップ(危険予測図)の17年ぶりの改定版を公表した。そこには、これまでの想定をはるかに超える可能性が指摘されていた。神奈川県内に溶岩流が到達する恐れがあるとあったのだ。

「溶岩流」は、火山の噴火によって地下の溶岩(マグマ)が斜面を流れる現象で、富士山噴火で予想される火山現象の一つ。土石流のように猛スピードでは襲ってこないが、温度1千度以上で全てを焼き尽くす。

 もともと富士山ハザードマップは2004年6月に国が策定したが、神奈川県内の被害は火山灰の降灰のみと想定されていた。今回、最新の科学的知見に基づき、噴火の調査対象を拡大し想定する火口の範囲も広げ、すべてのパターンでの到達範囲を地図に重ねるなどした。その結果、噴火が神奈川寄りの火口で起きると、県西部に溶岩流が到達する恐れがあるとしたのだ。

■「マグマだまり」がパンパン

 溶岩流が最も早く到達するとされたのが山北町で、発生から33時間後。その後さらに、南足柄市(80時間後)、開成町(128時間後)、松田町(148時間後)、相模原市緑区(227時間後)、小田原市(413時間後)、大井町(740時間後)……と、この7市町に溶岩流が到達する。はじめて溶岩流に襲われる可能性を突きつけられた、先の山北町の担当者が言う。

「避難は広域となる可能性があり、防災計画や避難計画の策定を考えないといけない」

 日本一の山、富士山。

 日本を代表する活火山で、過去5600年の間に180回近く噴煙を上げてきた。だが今は鳴りを潜め、兆候があるわけではない。富士山は噴火するのか。

「もはや富士山は噴火スタンバイ状態です。火山学的には、100%噴火します」

 と語るのは、火山学者で京都大学の鎌田浩毅名誉教授だ。


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