新しいNISAの疑問を徹底取材
新しいNISAの疑問を徹底取材

新しいNISAに関してわからない点も多いだろう。AERAは税制大綱の発表以来、金融庁など“お上”への直接取材を続けてきた。このQ&Aは現時点での集大成だ。アエラ増刊「AERA Money 2023春夏号」より。

【図表】新旧NISAの違いがよくわかる表はコチラ!

 2024年からはじまる「新しいNISA」に関して、まだ細かい疑問は多いだろう。ネット上には間違った解説や誤解も多い。

 そこで金融庁、東京証券取引所(以下、東証)、日本証券業協会、投資信託協会、SBI証券楽天証券、税理士でファイナンシャルプランナー(以下、FP)の西原憲一さん、金融教育家の塚本俊太郎さんに取材。Q&A形式でまとめた。ここから先は、●疑問、「回答」、★本誌編集者による補足説明の構成でお送りする。

●新しいNISAでは年間最大いくらまで投資できる?

「長期のつみたて・分散投資に適した一定の株式投資信託をつみたてられる『つみたて投資枠』が年120万円まで、個別の株式や投資信託を買える『成長投資枠』は年240万円まで。この2つの枠を併用すると年360万円まで投資できる」(金融庁、東証)

★年360万円は「1年間で投資できる金額の上限」の話。これとは別に、「生涯にいくらまで保有できるか」の上限として「非課税保有限度額」がある。

 こちらはつみたて投資枠と成長投資枠の合計1800万円まで。仮に毎年360万円の投資をすると最短5年で「枠」を使い切る計算になる。

 なお、ネット上では「生涯非課税限度額」「非課税生涯投資枠」などさまざまな言葉が飛び交うが、金融庁によると「非課税保有限度額」と呼んでいただきたいとのこと。

●新しいNISAの「つみたて投資枠」は年120万円(月に直すと10万円)まで。これはつみたて投資のみで一括投資はできない?

「『つみたて投資枠』で一括投資はできない。あくまで『年120万円まで』が正解であり、毎月の上限が10万円ではない点は誤解のないようにしてほしい」(金融庁、投資信託協会)

★最近は働き方が多様化している。毎月決まった給料が出る仕事ばかりではなく、その時々で収入に浮き沈みがある人もいる。

 収入が変化する人も、そうでない人も、みんなが自由に投資できる制度にしたかったそうだ。「長期・つみたて・分散」の投資を浸透させるため、仕組みとしては「これまでのつみたてNISAをベースにしたい」という考えがあったという。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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