伊勢育ちで、周りは日本の伝統文化に彩られた環境。だが、子どもの頃から海外志向が強く、『レ・ミゼラブル』を読んでフランスへの憧れを強くした。米国留学を経て、外資銀行や母校で高校の英語教員として勤めた後、20代でパリに留学。帰国後に現職を得た。上司がフランス人で、大使館内の職場はフランスそのもの。要職にフランス人が多いなか、日本人として上席貿易担当官に就いた。

「このポストを務めるのはコミュニケーション面でも大変ですが、期待に応えて何とか日本人がマネジメントレベルでも活躍できる環境が続くようにしたいです。フランス人は日本人より、合理性、柔軟性に長けています。彼らはバカンスも十分に取って、常に想像力を働かせます。“前と同じ”ではなく、常にイノベーション(変革)を求めます。学ぶことは多いですね」

(編集・ライター・金田千里)

AERA 2023年2月20日号