昨年5月のロンドン外遊時、金融街シティーで岸田文雄首相は「インベスト・イン・キシダ」とぶち上げた。新しいNISAは予想以上の“満額回答”
昨年5月のロンドン外遊時、金融街シティーで岸田文雄首相は「インベスト・イン・キシダ」とぶち上げた。新しいNISAは予想以上の“満額回答”

 2024年からのNISAは強烈に進化する。ただ、大枠がわかっただけで細かい部分の誤解や不明点が多い。そこで「お上」に直接取材、正答を得た。AERA2023年2月6日号の記事を紹介する。

【図】新旧NISAをスッキリ整理

*  *  *

 令和5年度税制改正大綱で、NISA(少額投資非課税制度)の刷新に歓喜の声が上がった。現行の一般NISAとつみたてNISAは2023年で終了し、24年からは岸田文雄首相“肝煎り”の新しいNISAが始まる。制度自体が恒久化され、非課税投資額も年間最大360万円にアップ。非課税保有期間も無期限。資産の一部を売却すると、その翌年に「売却した分、投資枠が復活する」のも画期的。

 要点はわかったが、細かい疑問がある。誤解も多い。そこで金融庁、日本証券業協会、投資信託協会などに取材し、正答を得た。「Q:質問、A:回答、■本誌の補足」の構成でまとめる。

Q:新しいNISAでは結局、年間最大いくらまで投資できる?

A:「一定の投資信託を積み立てられる『つみたて投資枠』が年120万円まで、個別の株式や投資信託(株式投資信託、ETF=上場投資信託、REIT=不動産投資信託)を買える『成長投資枠』は年240万円まで。併用すると年360万円まで投資できる」(金融庁)

■年360万円は「1年間で投資できる金額の上限」の話。これとは別に、“いくらまで保有できるか”の上限として「非課税保有限度額」がある。こちらはつみたて投資枠と成長投資枠の合計1800万円まで。年360万円の投資をすると最短5年で“枠”を使い切る計算になる。

Q:成長投資枠で積み立て投資をしてもいいのか?

A:「成長投資枠は一括投資でも積み立て投資でも可。つみたて投資枠の投資信託と同じものを成長投資枠で積み立ててもよい」(金融庁、投資信託協会)

■人気の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」等を積み立てたい場合、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を使えば月30万円まで買える。

Q:つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができるが、どちらか一つだけ使ってもいい?

A:「OK。つみたて投資枠だけなら非課税保有限度額は1800万円まで。成長投資枠だけなら1200万円まで」(金融庁、日本証券業協会)

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
次のページ