政治ジャーナリスト 星浩(ほし・ひろし)/1955年生まれ。TBSスペシャルコメンテーター。元朝日新聞特別編集委員
政治ジャーナリスト 星浩(ほし・ひろし)/1955年生まれ。TBSスペシャルコメンテーター。元朝日新聞特別編集委員
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 支持率低下に歯止めがかからず、迷走を続ける岸田文雄政権。2023年の政治経済はどうなるのか。鍵を握る10人について、政治ジャーナリスト・星浩さんが解説する。AERA 2023年1月2-9日合併号の記事を紹介する。

【図】星浩さんが選ぶ、鍵を握る10人はこちら

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 2023年の日本政治の焦点は岸田文雄政権が持つのかどうかに絞られる。23年1月からの通常国会をしのいで、5月に広島で開かれるG7サミット(主要7カ国首脳会議)を成功させ、政権の勢いを盛り返すと岸田氏は期待するが、現実は厳しい。

 自民党は、安倍晋三元首相の死去で軸を失った。安倍氏に支えられて首相に就いた岸田氏は「ポスト安倍」政局でリーダーシップを発揮できないまま、支持率低迷にあえいでいる。岸田政権は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題に機敏に対応できず、物価高対策も成果を出していない。防衛費増額をめぐっては、自民党内からの反発で増税の中身は先送り。岸田首相には説明不足という批判が強まっている。

 岸田政権が立ち直るのか、行き詰まって終焉(しゅうえん)するのか。いずれのケースでも動向が注目されるのは菅義偉前首相だ。菅氏は新型コロナウイルス感染拡大の中、首相在任1年で退陣に追い込まれたが、安倍氏の国葬での弔辞が評価され、「復権」の期待が広がっている。仮に岸田首相が内閣改造・自民党役員人事に踏み切り、菅氏が要職に就けば、政権のパワーは増すだろう。

 一方、岸田首相が退陣に追い込まれた場合、後継の自民党総裁・首相選びが動き出す。茂木敏充幹事長や河野太郎デジタル相が名乗りを上げる公算が大きい。ただ、茂木氏は人望がなく、支持は広がっていない。河野氏は思いつきの発言が目立ち、安定感を欠く。菅氏は、21年の総裁選で河野氏を支援したが、ポスト岸田の総裁選でどう動くか。関心が集まっている。

 自民党の人材不足が目立つ中、新たなリーダー待望論が経済界などから出ている。上川陽子元法相は候補の一人だ。岸田派(宏池会)の中堅で、自民党幹事長代理として官邸と党との連絡役を務めている。外交や社会保障にも精通しており、岸田政権の立て直しには欠かせない人材だろう。問題発言で辞任した葉梨康弘前法相の後任に抜擢(ばってき)された斎藤健氏も次世代のリーダー候補だ。石破派に所属していたが、現在は無派閥。経済産業省出身で政策に強いうえ、自民党改革を訴える熱血漢。若手議員に支持が広がっている。

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