昨年、中学1年の長男が不登校になり、自分を責めたという女性。「親の会」と繋がり、様々な子どもがいると知ったことで、肩の力が抜け、不登校を理解できるようになったという(photo 本人提供)
昨年、中学1年の長男が不登校になり、自分を責めたという女性。「親の会」と繋がり、様々な子どもがいると知ったことで、肩の力が抜け、不登校を理解できるようになったという(photo 本人提供)

 埼玉県に住む女性(40代)は、「学校に欠席の電話連絡をするのが苦しかった」と打ち明ける。

 中学1年の娘と小学4年の息子が長年不登校になっている。当初、学校への連絡は「登校できる日だけ」でよかった。それが2年前、校長が代わったのを機に、「欠席する日」は学校に電話連絡するよう求められた。

 朝、職員室に電話をすると、事情を知らない教師には欠席の理由を説明しなければいけない。そのうち「不登校」と言うのがつらくなった。

「子どもが学校に行けないのは決して悪いことではないとわかっていても、『不登校』と口に出すと胸にグサッときて、うちの子は学校に行けていないんだと再認識させられるんです」

 だが、そのつらさを教師はわかってくれない。女性は人間不信に陥り、他人と会話をするのも怖くなり、外出できなくなった。翌朝の電話を考えると、夜は寝付けずつらかった。

 家で暗い顔をしていると、子どもが敏感に察知し、気を使ってくるようになった。「これではいけない」と思い、気持ちを切り替え落ち着いていったという。

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年12月12日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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