統計調査ではどうだろう。
リクルートは2013年以降、毎年、全国の15~64歳の就業者を対象に仕事に関するアンケートを実施している。今年7月発表の21年の調査結果で、「働く喜び」を感じている人の割合は43.3%だった(「やや感じている」「感じている」「非常に感じている」と回答した人の合計)。これは前年に比べて1ポイント増だという。
■対照的な男女の傾向
気になる点もある。「働く喜び」の実感は性別・年代別で異なる傾向が浮かぶのだ。
21年の調査結果によると、男性は50代まで年齢を重ねるごとに「働く喜び」が減少している。20代で43.4%だったのが、50代で36.4%に底打ち。60代前半で48.6%に増加している。一方、女性は年齢を重ねるごとに「働く喜び」が増加している。20代で41.1%だったのが、60代前半で55.4%まで右肩上がりに増えている。
調査は「働く喜び」の必要性についても問うている。
こちらは男女いずれも年齢を重ねるほど、「必要だと思う」の回答割合が右肩上がりで増加。全体平均では84.2%の人が「必要だと思う」と回答しており、総じて「働く喜び」が必要だと思う人が多いことがわかった。
「『働く喜び』を必要だと思う人の割合は、男女ともに高く、年齢を重ねるごとに増えていく傾向にあるなか、心配なのが男性の『働く喜び』の実感状況です。年齢を重ねるほど『働く喜び』は減少し、40~50代では約3人に1人しか、『働く喜び』を感じていない実態が見えてきました」
こう話すのは、リクルートHR統括編集長の藤井薫さんだ。
21年の国の労働力調査によると、40~50代男性は雇用者全体の24.7%を占める。この労働力人口が多い年代において「働く喜び」の実感値が低いことは、働く人のウェルビーイングや企業の人材マネジメントの視点からも重要な問題だ。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2022年11月7日号