Yukikoさんのタイへの渡航は通算40回。バンコクの隣県、サムットプラカーン県の寺院に参拝した時の一枚
(photo Yukikoさん提供)
Yukikoさんのタイへの渡航は通算40回。バンコクの隣県、サムットプラカーン県の寺院に参拝した時の一枚 (photo Yukikoさん提供)

 BLドラマに音楽、料理──。エンターテインメントをはじめとするタイ文化にハマる人々がいる。何が人をひきつけるのか。AERA 2022年10月31日号より紹介する。

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「まさか自分がハマるとは全く思っていませんでした。映画も、字幕ではなく吹き替えで観たいタイプですから」

 そう話すのは、2020年9月創刊の日本初タイドラマ専門誌「タイドラマガイド『D』」編集長、田中美里さんだ。

 きっかけは、BLドラマ。もともとBLが好きで、コロナ禍で自宅にいる時間が増え、SNSでバズっていたタイのBLを観始めた。あっという間にハマってしまい、「タイドラマの魅力を多くの人に伝えたい」と、専門誌を出すまでになった。

「今、アジア各国でBLドラマが作られています。日本はライトなものが多く、台湾は結構ディープ、韓国はライトでファンタジー要素もあるなど、国ごとに色がみられます」

 田中さんによると、タイのBLドラマは作品数が多く、ジャンルが多岐にわたり、好みに合ったものを見つけやすいという。

「BLドラマを入り口にBL以外のドラマを観始めたり、タイの俳優は歌を歌う方も多いのでタイの音楽を聴き始めたり。幅広くタイのエンタメにハマっていくファンも珍しくありません」

 田中さんと同様、「まさか自分が」体験を語るのは、タイ式芸能ライターの白田麻子さん。

「『2gether』の時は、別に平気だよね、と思っていたんです。ところが『En Of Love』で、タイ沼にハマるということを感覚的に理解しました」

Yukikoさんが所蔵するタイのCDとDVDのコレクション(photo Yukikoさん提供)
Yukikoさんが所蔵するタイのCDとDVDのコレクション(photo Yukikoさん提供)

■恋愛のプロセスが自然

「2gether」とは今週号の表紙も飾った人気俳優、ブライトとウィンの二人が主演を務めたドラマで、物語の中盤と最終回終了後の2回、Twitter世界トレンド1位を獲得した。「En Of Love」は、大学を舞台に3組の恋をオムニバス形式で描いた、白田さん曰く「タイBLの要素をぎゅっと凝縮したドラマ」だ。

「タイのBLは恋愛のプロセスが自然。タイ人がよく使う言葉に『化学反応がいい』というのがあるんですが、(恋人同士役を演じた)俳優さん同士の化学反応がいい。だから、2人が出演する別の作品も観たくなる」

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