第7波は落ち着いてきたが、呼吸器感染症の流行しやすい冬が到来すれば、流行がぶり返す可能性がある。従来株とオミクロン株のBA.1系統に対応した2価ワクチンの接種が始まったが、冬に備えてどうすればいいのか。AERA 2022年10月3日号から。

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港区新型コロナウイルスワクチン接種センター
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 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会では、2価ワクチン接種後の中和抗体が、従来のワクチンより1.5~1.7倍しか高くないのでは効果が不十分ではとの指摘も出た。しかも、ファイザー、モデルナ両社が米疾病対策センター(CDC)に提出した資料によれば、BA.1系統に対応する2価ワクチンは、今、流行しているBA.5系統に対してはより低い効果しかない。

 2価ワクチンの接種を日本に先駆けて始めた米国で使われているのは、ファイザー社製とモデルナ社製の2価ワクチンのうち、BA.5系統と、米国内で一時期、同時に流行していたBA.4系統に対応するワクチンだ。後から開発されたのでまだ米国内にしか供給されていないとみられるが、ファイザー社は13日、こちらの2価ワクチンを日本でも承認申請した。

AERA 2022年10月3日号より
AERA 2022年10月3日号より

■待たずに打っていい

 BA.5に対応するワクチンが輸入されるまで、追加接種を行うことは待った方がいいのだろうか。

 ワクチン分科会の分科会長代理を務める中野貴司・川崎医科大学教授(小児科)はこう話す。

「接種の機会がある人は待たずに、今、打った方がいいと思います。ワクチンの効果は中和抗体だけで決まるわけではありません。また、国内でBA.5対応のワクチンの接種が始まるころに、どんな変異株が流行しているのかもわからないからです」

 新型コロナウイルスに限らず、ワクチンを作る段階で将来的にどのような系統が流行するのかを予想するのは難しい。

「どんなワクチンでも、可能な限り流行しそうな系統に近いウイルスに対応できるものを作る、という方向が大原則です。その意味で、BA.1対応の2価ワクチンは従来株に加えてオミクロン株にも対応しており、原則に則った方向で開発されたワクチンと言えます」

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