──今回の騒動で、札幌市が名乗りを上げている30年冬季五輪招致に危機感を持ったJOCが、組織委のガバナンス体制強化や「スポンサー選定プロセスの透明化の検討」という方針を打ち出した。期待できるのか。本間さんは一笑に付す。
「まったく不可能でしょう。本当にリセットしたいと考えるなら、いの一番にやるべきは『電通を外すこと』です。そしてスポンサー選定の過程をすべてガラス張りにし、あらゆる報告を組織委に上げさせ、かつ文書として残す。それくらいやらないと何も変わりません」
「今回の事件は、『高橋さんという、悪い元電通マンがいてさ』という話ではありません。企業側はスポンサーになれたら自分たちのビジネスチャンスにも、ネームバリューにもなると五輪に群がる。五輪はそういう企業人たちの欲望をも刺激する舞台装置なんです。その装置をそのままに札幌五輪をやれば、必ず同じことが起きる。高橋氏を排除しても、また第二、第三の高橋氏が出てくるだけです」
(構成/編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年9月26日号より抜粋