大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相は、東京地検特捜部から参考人として複数回、任意で事情聴取された。朝日新聞などが報じた(photo 代表撮影)
大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相は、東京地検特捜部から参考人として複数回、任意で事情聴取された。朝日新聞などが報じた(photo 代表撮影)

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件は、底なしの様相だ。電通元専務で大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者の逮捕を皮切りに、汚職が次々と明らかになっている。札幌市が目指す2030年の冬季大会では、透明性を確保できるのか。五輪と広告会社との関係に詳しい著述家の本間龍さんに聞いた。AERA 2022年9月26日号の記事を紹介する。

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──政界への波及も取りざたされる。組織委会長だった森喜朗元首相も任意の事情聴取をすでに複数回受けているとされる。

「組織委トップがスポンサー選定に関わることは、普通はあり得ません。ただ、森氏が『特殊な存在』であることは確か。高橋(治之)氏はAOKI前会長にも森さんを会わせ、KADOKAWAと別の出版社を2社セットでスポンサーにしようと計画したときも森さんを2社に引き合わせたと報道されている。森氏を通さないと物事が進まない、という実態がよく見えてきます」

──捜査でどこまで解明すべきか。

「高橋氏がスポンサーに引き込んだ企業の名前をすべて明らかにし、なぜ彼がこんなに簡単に多数の企業からお金を集めることができたのかを、国民から見てわかるようにすること。そして五輪がスポンサー制度がなければ成立しないほど巨大化し、その制度は高橋氏みたいな人が暗躍する下地になっているという構造的な欠陥をきちんと国民に示すことが大事です」

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