photo (c)143 rue du desert Hassen Ferhani Centrale Electrique -Allers Retours Films
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 サハラ砂漠の真ん中で小さな店を営む老女マリカ。決して愛想がよいわけではない彼女のもとに、ときおりトラック運転手やバイカーがやってきては、話をして去っていく……。美しく詩的な映像で綴られるドキュメンタリー──。連載「シネマ×SDGs」の19回目は、どこか映画「バグダッド・カフェ」を彷彿とさせる世界が、魅力的で奥深い「サハラのカフェのマリカ」のハッセン・フェルハーニ監督に話を聞いた。

【写真】ハッセン・フェルハーニ監督はこちら

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 友人で俳優のチャウキ・アマリの著作でマリカの存在を知り、会いに行ったんです。すぐに「主人公にしたい!」と思いました。チャウキはマリカと親しく、私も受け入れてもらえたようです。映画のなかで窓越しにマリカと即興芝居をして笑わせてくれているのがチャウキです。

photo (c)143 rue du desert Hassen Ferhani Centrale Electrique -Allers Retours Films
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 2カ月間の撮影中、マリカと客を待ちながら、たくさんのお茶を飲みました。忍耐力がついたと思います(笑)。マリカは好き嫌いがはっきりしています。それは砂漠のなかで自分の身を守るための術なのかもしれません。彼女を前に何かをごまかしたりすることはできません。彼女は通り過ぎる人々にとって母親のようでもあり、心理カウンセラーのようでもある。そこに興味を引かれました。

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