岸田改造内閣では旧統一教会やその友好団体との接点を認めていた閣僚7人は起用されなかったものの、入閣した7人に接点が確認された
岸田改造内閣では旧統一教会やその友好団体との接点を認めていた閣僚7人は起用されなかったものの、入閣した7人に接点が確認された

 安倍晋三元首相銃撃事件を機に、旧統一教会側と自民党の関係が次々と表に出ている。選挙支援だけでなく、政策面やデモ活動などあらゆるところで結びついていた。AERA 2022年8月29日号の記事から紹介する。

【図表】自民党と国際勝共連合の改憲案の共通点はこちら

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 選挙期間中に安倍晋三元首相が銃撃された参院選で初当選した自民党の生稲晃子氏が公示前の6月、萩生田光一・現政調会長と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設を訪問していたことが明らかになった。

「旧統一教会が動くのは『参院選の全国区』と『自民党が複数立候補している選挙区で負けているほう』。今回の生稲さんはまさに後者でしょう。その票があれば、勝てるわけだから」

 そう語るのは、元衆院議員の50代女性だ。

 生稲氏が立候補した東京選挙区(改選数6)では改選前、自民党は2議席。再選を目指す元バレーボール選手の朝日健太郎氏と、引退する中川雅治・元環境相の後継で「元おニャン子クラブ」の生稲氏の「2人当選」が至上命令だった。

 トップ当選が確実視されていた朝日氏に対し、新人の生稲氏のほうは厳しい戦いを強いられた。生稲氏は朝日新聞など報道各社に対して訪問は事実と認めた上で、

「新人の立場ですのでより多くの方に政策を聞いていただきたいという思いで、スタッフが判断しました」

 と釈明。8月18日の記者団の取材に対しては、教団だとは認識していなかったと強調した。

■あえて触れなかった

 萩生田氏にいたっては同日、記者団の取材に対して、

「(訪問した)団体と統一教会の名称は非常に似ていますが、あえて触れなかったというのが正直なところだ」

 などとあいまいな受け答えに終始した。前出の元衆院議員は、

「相手が旧統一教会か否かがわからないなんてことは100%ない。一般の会社員が知らないのは仕方がないけれど、政治の世界では常識。わからないのは逆に恥ずかしい」

 自身は20代の頃、将来の政界入りを目指し、「保守系無所属」として関東で活動を始めた。あるとき、先輩議員に旧統一教会の友好団体である政治組織「国際勝共連合」のトップを紹介され、都内の本部まで会いに行ったという。元衆院議員は、

「まとまった票がある、と言われた。なんの支持母体も持たない自分にとっては、その票がキープできれば心の支えになる。それを逃す手はないと考える候補者は、多いと思います。それくらい『当選』は重いのです」

 その後、活動拠点を関西に移し、自民党以外の政党から出馬。いつの間にか教団との付き合いはなくなったが、多くの宗教団体が政治家の周囲にうごめいていることを感じてきたという。

「当選したら『お礼参り』をするのも常。その宗教のしきたりに従って見よう見まねで礼拝するんです。議員本人が顔を出すのはまずいと判断し、実の親や妻を出席させているケースも多々あります」(元衆院議員)

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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