この記事の写真をすべて見る 行動制限のない夏、帰省の準備をしている人も多いのでは。久々に顔を合わせるからこそ、いまのうちから一緒に考え、整えておくことで、お互いが安心できることがある。例えば「デジタル資産」。どう管理すればいいのか、専門家がアドバイスする。AERA 2022年8月15-22日合併号の「実家メンテナンス」特集記事から。
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「○○の家族です。○○が×月×日、亡くなりました。生前は皆様に大変お世話になり、感謝申し上げます」
ツイッターなどのSNSで、アカウント本人の死後、こんな投稿を少なからず見かけるようになった。
家族にツイッターを見られるなんて勘弁? それとも、フォロワーに報告と感謝を伝えてほしい? アカウントごと削除してほしい? 人により考え方はさまざまだろう。
ツイッターやFacebook、インスタグラムなど各種SNSアカウントを含め、インターネットサービスのアカウントやパソコン・スマホ等のデジタル機器に保存されたデータ類は、実は立派なデジタル資産だ。持ち主が亡くなった後は「デジタル遺品」になる。
■ロックが開けない
「うちの親はネット銀行もネット証券もやっていないから大丈夫」と思うかもしれない。だが、今や70代でもスマホ所有率は7割、60代では9割に達する(NTTドコモ モバイル社会研究所調べ、2022年1月)。SNSのみならず、写真や文書ファイルのほか、ブログ、フリマアプリ、各種サブスクリプションサービス、○○ペイのようなキャッシュレス決済サービスなどを利用している親世代も決して少なくないはずだ。
デジタル資産の管理について、日頃からどんな対策を取っておくべきか。『デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた』(伊勢田篤史さんとの共著)などの著書があるジャーナリストの古田雄介さんは、身内が亡くなった遺族から直接相談を受けることもある。
「7、8割は、故人のスマホのロックが開けないんだけどどうしたらいいか、という相談です」
個人情報がこれでもかと詰め込まれ年々セキュリティーレベルも上がっているスマホは、データ復旧専門の事業者でも確実に解除できるわけではないという。
では、どうすればいいか。古田さんは、アナログで「スマホのスペアキー」を残しておくことを推奨する。