エッセイスト 小島慶子
エッセイスト 小島慶子

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 パンデミックも3年目。ワクチン接種が進むにつれて各国で規制が緩和され、人の往来が少しずつ戻ってきました。でも、もしも海外出張中にコロナに罹(かか)ったら? 不安ですよね。私も、家族のいるオーストラリアを訪ねているときに感染したらと気がかりです。

 今年4月、西オーストラリア州の日本国総領事館から、日本入国の際のPCR検査証明書について注意喚起がありました。新型コロナウイルスに感染して完治し、他人に感染させる恐れがなくなってからも、数週間は死んだウイルスの遺伝子が体内に残っているため、PCR検査で陽性反応が出てしまうことがあります。現在の日本のルールでは「陰性証明」がないと入国できないため、完治していてもPCR検査が陰性になるまでは日本に入国できないこともあり得る、というのです。

 なんと! 1週間の出張の予定が、延々数週間も海外で足止めを食らうことになったら大変ですよね。そこで先日、厚生労働省と外務省に電話して聞いてみました。あの、健康なのに日本に帰れないって切なすぎませんか? すると、こんな回答が。

 5月から、そのような場合は現地の日本領事館に相談して「領事レター」を発行してもらえば、PCR検査の陰性証明がなくても日本に入国できるようになったそうです。ただ、領事レターを発行するのに必要な条件や所要日数などは現地の事情や申請した人の状況によって異なるので、個別に判断するとのこと。少なくとも、問答無用で「検査で陰性になるまでは、どんなに健康でも日本に入れません!」というわけではないと知って安心しました。

 こうした措置は状況によって変化するので、海外出張などの際に気になったら厚労省に問い合わせてみてください。感染を心配せずに暮らせる日常が一日も早く訪れることを心から願います。

◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。

AERA 2022年6月13日号

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小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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